研究報告

小野研究室の論文がChemistry – An Asian Journal誌のCover Featureに選ばれました。
研究論文「Difluoroboron Chelation to Quinacridonequinone: A Synthetic Method for Air-Sensitive 6,13-Dihydroxyquinacridone via Boron Complexes」が高く評価され、Chemistry – An Asian Journal 誌のCover Featureに選ばれました
キナクリドン類は鮮明な色と耐久性を兼ね備えた高性能の赤色合成顔料であり、自動車の塗装・印刷インキ・プラスチックの着色などに用いられています。近年では、太陽電池・有機EL材料などの有機エレクトロニクス分野に向けて活発に研究が行われています。一方、当研究室ではホウ素錯体を用いて有機機能性材料の研究開発を行っています。本研究では新たな合成顔料を開発する目的でキナクリドンキノン(QQ)へのホウ素錯体(BF2)導入反応を調査しました。その結果、生成した濃緑色物質は当初予想したQQ-BF2ではなく、それが2電子還元された6,13−ジヒドロキシキナクリドン(QA-OH)のBF2錯体(QA-BF2)であることを発見しました。実は、2電子がどこから注入されたか未だに分かりません。Cover Pictureの「From Where?」はそれを指しています。また、QA-BF2の加水分解によって濃紺色のQA-OHが生成し、さらに空気酸化によって黄色のQQが再生しました。これにより、ホウ素錯体を介してQQからQA-OHに変換する新しい合成経路の開発に成功しました。本研究成果は、新規顔料だけでなく還元剤や酸素センサーの開発へ応用が期待されます。

<掲載論文>  Chemistry – An Asian Journal
<掲載内容>  Cover Feature