教員

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小野先生

 小野 克彦 准教授

【専門分野】

構造有機化学、 有機物性化学

【所属学会等】

日本化学会、アメリカ化学会、基礎有機化学会、有機合成化学協会

【現在の研究テーマ】

・新奇な分子デザインに基づく有機半導体の開発
・超分子ナノチューブの形成と水の機能発現に関する研究
・太陽電池色素を目指した新規ドナー-π-アクセプタ系の合成研究

【研究者データベースシステム】

http://researcher.nitech.ac.jp/html/84_ja.html

小野研学生へ

今日、BT(benzothiadiazole)は導電性ポリマーのビルディングブロックとして世界中の研究者に使われており、有機エレクトロニクスの新規物質開発において必要不可欠なツールになっています1)。その理由は、BT骨格のベンゼン環部位に組み込まれているキノイド性とコンパクトなチアジアゾール環による平面性が、有機パイ電子系の導電性に極めて有効なためと考えられます。すでに有機EL(OEL)は実用の時代を迎えており、有機薄膜太陽電池(OPV)や有機電界効果トランジスタ(OFET)なども近い将来に商品に搭載されるでしょう。

bt12-740

私は、博士課程の学生だった頃にBT誘導体の研究開発に従事していました。当時、BTQBTが世界で初めて単一有機半導体になるとして話題になっていましたが2)BTを導電性材料に積極的に使う研究室は他にありませんでした。私も、時に疑心暗鬼になりながら、有機超伝導体の開発を行っていたのを思い出します。私の場合、幸運にもBTがもつ特有な性質のおかげで、BTQT, BBT, 化合物14のとても面白い分子達に出会うことができました3-9)

bt21-740

それから随分経ちましたが、BT研究から離れ客観的に見てみると、当時我々が行っていた研究は、BTが育つ土壌を一生懸命に作っていたのだと分かります。そして当時の研究は、今日大木になったBT研究の根や幹として息づいていると考えます。

現在、我々は幸いにもDOB(dioxaborine)とMC(2-phenyl-1,3,4-oxadiazole tetramer)を手にしています。DOBは、強力な電子アクセプタとして、有機n型半導体や太陽電池色素においてその有効性が認められました10-12)。一方、MCは超分子構造に特徴があり、自己組織化でできたナノチューブの中に水が一列に整列した構造が発見されています13)。将来的に「水の細線化技術」として花が咲くことを期待しています。研究はそう簡単には進んでくれませんが、それはBT研究の時も同じだったなぁ、と思い出されます。

dob_mc11-740

将来これらの技術が大木に育ち必要とする人々に届くよう、小野研メンバーと一緒にこれらの土壌をつくって行きたいと強く思っています。

References
1) Y. Wang, T. Michinobu, J. Mater. Chem. C, 2016, 4, 6200.
2) Y. Yamashita, S. Tanaka, K. Imaeda, H. Inokuchi, M. Sano, J. Org. Chem. 1992, 57, 5517.
3) Y. Yamashita, K. Ono, S. Tanaka, K. Imaeda, H. Inokuchi, M. Sano, J. Chem. Soc., Chem. Commun.1993, 1803.
4) Y. Yamashita, K. Ono, S. Tanaka, K. Imaeda, H. Inokuchi, Adv. Mater. 1994, 6, 295.
5) K. Ono, S. Tanaka, K. Imaeda, Y. Yamashita, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1994, 899.
6) Y. Yamashita, K. Ono, M. Tomura, K. Imaeda, Chem. Commun. 1997, 1851.
7) K. Ono, S. Tanaka, Y. Yamashita, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 1994, 33, 1977.
8) Y. Yamashita, K. Ono, M. Tomura, S. Tanaka, Tetrahedron 1997, 53, 10169.
9) K. Ono, A. Adachi, K. Okita, M. Goto, Y. Yamashita, Chem. Lett. 1998, 545.
10) K. Ono, H. Yamaguchi, K. Taga, K. Saito, J. Nishida, Y. Yamashita, Org. Lett. 2009, 11, 149.
11) K. Ono, J. Hashizume, H. Yamaguchi, M. Tomura, J. Nishida, Y. Yamashita,Org. Lett. 2009, 11, 4326.
12) K. Ono, A. Nakashima, Y. Tsuji, T. Kinoshita, M. Tomura, J. Nishida, Y. Yamashita, Chem.–Eur. J. 2010, 16, 13539.
13) K. Ono, K. Tsukamoto, R. Hosokawa, M. Kato, M. Suganuma, M. Tomura, K. Sako, K. Taga, K. Saito, Nano Lett. 2009, 9, 122.