研究室ニュース
月刊「化学」「2019年の化学:最新のトピックス」に有機ホウ素錯体に関する記事が掲載されました。タイトルは「ホウ素元素をいかに利用するか?~有機ホウ素錯体の研究動向」です。その内容は4つのトピックスからなっており、最後のトピックが小野研で行った研究成果になります。
・分子集合を利用した固体発光材料の開発
・有機発光ダイオードにおける近赤外発光材料の開発
・アニオン捕捉による有機反応触媒の開発
・ホウ素錯体を介した物質変換反応の開発
4つのトピックスがコンパクトに2ページにまとまっているため、学生の皆さんにも読みやすい内容になっていると思います。また、これをきっかけに他の記事もぜひ読んでみてはいかがでしょう。
「化学」は本学の図書館で開架されていないため、小野研究室で雑誌を入手しました。学習の参考資料として是非ご活用ください。
<発表雑誌>
雑誌名 :月刊「化学」
タイトル:ホウ素元素をいかに利用するか?~有機ホウ素錯体の研究動向
<問い合わせ先>
小野克彦研究室(1号館516B, 519B)
小野研究室の論文がChemistry – An Asian Journal誌のCover Featureに選ばれました。
研究論文「Difluoroboron Chelation to Quinacridonequinone: A Synthetic Method for Air-Sensitive 6,13-Dihydroxyquinacridone via Boron Complexes」が高く評価され、Chemistry – An Asian Journal 誌のCover Featureに選ばれました。
キナクリドン類は鮮明な色と耐久性を兼ね備えた高性能の赤色合成顔料であり、自動車の塗装・印刷インキ・プラスチックの着色などに用いられています。近年では、太陽電池・有機EL材料などの有機エレクトロニクス分野に向けて活発に研究が行われています。一方、当研究室ではホウ素錯体を用いて有機機能性材料の研究開発を行っています。本研究では新たな合成顔料を開発する目的でキナクリドンキノン(QQ)へのホウ素錯体(BF2)導入反応を調査しました。その結果、生成した濃緑色物質は当初予想したQQ-BF2ではなく、それが2電子還元された6,13−ジヒドロキシキナクリドン(QA-OH)のBF2錯体(QA-BF2)であることを発見しました。実は、2電子がどこから注入されたか未だに分かりません。Cover Pictureの「From Where?」はそれを指しています。また、QA-BF2の加水分解によって濃紺色のQA-OHが生成し、さらに空気酸化によって黄色のQQが再生しました。これにより、ホウ素錯体を介してQQからQA-OHに変換する新しい合成経路の開発に成功しました。本研究成果は、新規顔料だけでなく還元剤や酸素センサーの開発へ応用が期待されます。
<掲載論文> Chemistry – An Asian Journal
<掲載内容> Cover Feature
2019年4月7日(土)に名古屋市公会堂で入学式が開催されました。当研究室では、廣嶋孝治君、森 義貴君、ZHENG Shaokun君が大学院修士課程に入学しました。天気に恵まれ、久しぶりに公会堂で行う入学式は心に残るものだったと思います。3人の今後の活躍を楽しみにしています!
小野研メンバーとして、SON Mingon君・武田昌之君・田尻直孝君が加入し、2019年度がスタートしました。小野研メンバーの今後の活躍に期待しています。
とにかく寒い花見でした。ボウリング大会では松岡君が優勝しました。(2019年4月2日)
小野研究室と共同研究している北村研究室(滋賀県立大)の論文がEur. J. Org. Chem.誌のFront Cover に選ばれました。おめでとうございます。
論文タイトル: Synthesis and Characterization of Soluble Directly 2,2′-Linked Tetracene Dimer
小野研究室の論文がChemistry—An Asian Journal誌に発表されました。本研究は、主に森谷晃一朗君の修士論文をまとめたものです。
論文タイトル:Difluoroboron Chelation to Quinacridonequinone: A Synthetic Method for Air-Sensitive 6,13-Dihydroxyquinacridone via Boron Complexes
論文ページ:https://doi.org/10.1002/asia.201900219
概要:キナクリドン誘導体は機能性色素材料として工業的に注目されている物質です。そこで、キナクリドンキノン(QQ)へのBF2キレート化を行いました。 得られた濃緑色の固体は、6,13−ジヒドロキシキナクリドン(QA-OH)のBF2錯体であり、そしてQA-BF2 であると決定されました。 この化合物をアルゴン中で加水分解して濃紫色の固体としてQA-OHが得られました。 さらに、QA-OHは空気酸化またはベンゾキノンの存在下でQQに変換されました。 本研究では、BF 2錯体を経由するQQからQA-OHへの新しい合成法を見出しました。
2019年2月5–6日に International Symposium on Optobiotechnology が名古屋工業大学で開催されました。当研究室からは、弓岡史奈さん、佐倉裕規君、松岡拓哉君、森義貴君がポスター発表を行いました。
2019年2月5日(火)ポスターセッション16:20-18:30
Boron β-Ketoiminate Dye Sensitizers Containing Linear D-π-A Structures
○Fumina Yumioka and Katsuhiko Ono
(内容)ホウ素錯体を有する有機色素の太陽電池特性に関する発表
Synthesis and Absorption Properties of (1,3-Diketonato)boron Difluoride Derivatives with π-Extended Triphenylamine
○Yuki Sakura, Keisuke Banno, and Katsuhiko Ono
(内容)ホウ素錯体を有する有機色素の太陽電池特性に関する発表
Synthesis and Properties of N-Boc-Pyrrole Derivatives as p-Type Semiconductors
○Takuya Matsuoka, Yuya Makino, Yuta Imaeda, and Katsuhiko Ono
(内容)p-型半導体に向けたピロール誘導体の合成研究に関する発表
Synthesis and Absorption Properties of Bis(dioxaborin) Derivatives
○Yoshitaka Mori, Fumiyasu Ishikawa, and Katsuhiko Ono
(内容)ビス(ジオキサボリン)誘導体の光吸収特性に関する発表
F. Yumioka | Y. Sakura | T. Matsuoka | Y. Mori |
生命・応用化学専攻で開講する超分子固体化学特論についてのご案内です。
12月18日(火)は、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社から櫻木勇輝 氏 を実務型教員としてお迎えします。履修登録などの必要はありませんので奮ってご参加ください。
講義名:超分子固体化学特論
実務型教員:ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社 櫻木勇輝氏
日時:2018年12月18日(火) 1,2時限
場所:1号館1階108B室(大学院ゼミ室)
櫻木勇輝氏は、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社(ソニーGM&O)の研究員としてご活躍しています。ソニーGM&Oは様々な製品(BRAVIA、PlayStation4、Xperia、ハイレゾウォークマン、デジタル一眼カメラ、業務用シアターシステム、医療関連機器)を生産しており、ソニーグループの基幹工場として“ものづくり” の中核的役割を果たしています。その中で、櫻木氏は新たな半導体産業を創出するための研究開発に従事しています。櫻木氏の講義から本授業科目に関して次世代産業の最前線を知ることができます。
12/18:櫻木さんのご活躍がよく分かるご講演でした。「たまたま」「運良く」と言っていましたが、ご活躍の裏にはそこにつながるヒント(必然性)があったと思います。ご参加いただいた皆さんの参考になれば幸いです。また、多数のご参加ありがとうございました。
2018年11月3–4日に第49回中部化学関係学協会支部連合秋季大会(2018年11月3-4日)が名古屋大学で開催されました。当研究室からは、森谷晃一朗君が特別討論での口頭発表、松岡拓哉君がポスター発表を行いました。
2018年11月3日(土)
1D03(特別討論口頭)9:40-10:00
キナクリドンキノンホウ素錯体の構造及びその応用
◯森谷晃一朗、島田涼平、小野克彦
(内容)キナクリドンキノンホウ素錯体の合成とその反応に関する発表
1PA23(ポスター)13:00-14:00
N-Bocピロールを用いた熱変換型有機半導体分子の開発
◯松岡拓哉、牧野雄也、今枝優太、小野克彦
(内容)ピロール誘導体を用いた有機半導体膜の作製に関する発表
ポスター発表の松岡君(M1)と口頭発表の森谷君(M2)